「風物から見た韓国」無事終了しました 【2015.11.27】

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日韓国交正常化50周年の節目を記念して、NPO法人韓ソリでは2015年11月27日、韓国を代表する伝統芸能である「農楽」がユネスコ(国連教育科学文化機関)人類無形文化遺産に登録(2014年11月27日)されてちょうど一年を迎えたこの日に福岡市中心部の福岡アジア美術館内「あじびホール」にて、韓ソリ主催・文化講演セミナー「風物(プンムル)から見た韓国」(平成27年度福岡市民芸術祭参加認定、2015年在日韓国民団文化芸術助成事業)を開催しました。

風物(プンムル)とは
地域共同体の和合と地域住民の安寧を祈るために韓国全域において行われ、ケンガリ(鉦)・チャンゴ(杖(長)鼓)・プク(太鼓)・ジン(銅鑼)・ソゴ(小鼓)などの打楽器の演奏者が行進し、または踊りながら演技をする集団歌舞の民俗芸能のことをいいます(農楽と言われることもあります)。村の守護神や農耕の神を祀る祭祀、厄祓いや招福の願掛け、春の豊作の祈願、秋の豊作を祝う祭りなど暮らしの中に溶け込まれ、共同体の様々な行事の時に演奏されることによりその場を盛り上げ、和合と団結を強める役割を果たしてきました。

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講師に社団法人サムルノリ・ハヌルリム首席団員のヒョン・スンフンさん、湖南右道井邑(ホナムウドジョンウプ)農楽履修者で女性演戯団ノリコッ代表のキム・ソラさんを迎え、司会進行はLOVE FM DJのキム・ジスクさん。

ヒョン・スンフンさんは国立の韓国芸術総合学校出身で金徳洙先生(サムルノリ創始者リーダー)のもとプクを担当、ソゴチュム(小鼓舞)、ヨルトゥバルなども担当し世界各地でサムルノリ演奏するハヌルリムの主要メンバーで、2007年の「金徳洙“芸道50周年記念公演」でも北九州公演で訪れて韓ソリメンバーとも会っており、また湖南右道井邑農楽もしっかり履修されています。

キム・ソラさんは右道農楽発生地・井邑(ジョンウプ)にて幼少の頃から湖南右道井邑農楽芸能保有者であるユ・ジファ先生から井邑農楽(最も完全な形態の右道農楽を維持するといわれる)の真髄を伝習、韓国中央大学校大学院韓国音楽学科打楽専攻で各地域の農楽を研究、女性演戯団 ノリコッ代表であり、これまた世界各地で公演されています。金徳洙先生は「彼女は右道のスペシャリストだよ」と言っていました。

講師のお二人には6年前、韓国でユ・ジファ先生の湖南右道井邑農楽特講で1週間毎日朝から晩までみっちり農楽漬けの時に色々とお世話になったのです。今回の講演セミナーはその時の約束の一環でもあります。



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福岡アジア美術館ではポスターが各所に掲示されていました。字面だけでは「農楽」は日本の伝統芸能の「能楽」との混同が生じ、「風物」では「季節感のある眺め」と思われてしまうことがしばしばですのでポスターを一見して、日本の祭り文化との親和と違和が同時に感じられるようやや腐心しました。ポスターを見て当日に是非と来られた方もいらっしゃいました。

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設営や受付など韓ソリのメンバーがシンプルながらしっかりとレイアウト。右側の小型旗は一昨年作成したもの。昨年5月大阪でのサタデーチャンゴフィーバーでも好評でした。デスクトップサイズに小型化したのは世界初?だと思いますが小さくとも神が宿る大事な旗です。

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会場の受付横には四物(サムル)の楽器とソゴ(小鼓)を実際に手にとれるよう設置。

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「日韓国交正常化50周年という記念する年でしたがあまり良好な雰囲気とは言い難く、しかしながらそうした状況に左右されずに民間の交流やスポーツ文化芸術交流は特に継続してお互いに接することが重要だ」と主催の韓ソリ イ・ジョンガン代表。フライヤー・ポスターの農楽挿絵も今回描いています。

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続いて講師お二人の紹介、ステージ上でご挨拶。

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ここではほんの一端しか紹介できませんが、韓国にとって風物とは何なのか?また風物の『演戯』の意味、門グッやパンクッ、個人ノリの構成や特徴、編成・形態などについて言葉を選びながら詳しく解説。

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京畿・忠清ウッタリ風物(中部地域)。ダイナミックなサンモや構成、舞童などの説明。

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嶺南農楽(慶尚道地域)、嶺東農楽(江原道地域)。全体的に非常に力強い特徴やプクの重要性、特徴的なサンモ、12次風物などについても造詣が深い。

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湖南(全羅道地域)での右道農楽、左道農楽。地域での性質の差異なども。特に右道農楽は韓国を代表する多彩なリズムを有し、陣法や歌、華やかなコッカル、サンセやプッポの特徴、また個人ノリのことなど専門的過ぎないよう注意し、深くても内容は理解しやすくなるよう努めました。

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サムルノリと風物の関係ではサムルノリ創始者でリーダーの金徳洙先生と長年演奏している講師なので創生の話からメンバーについてなどのあまり知られてないことにも言及、興味を惹きました。

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男寺党から1978年に誕生したサムルノリの現在に至る歴史性や伝統の系譜、その意義、未来へのアプローチなどなど。
サムルノリは「各地の農楽の音楽性を再構成して舞台化した」というよりも「風物の縮小版であり韓国の情緒を失わないようにそのまま演戯に反映した。」という言葉がとてもしっくりと共感出来て印象的でした。
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資料には楽器の性質や特徴などを丁寧に記載、後半は実際の演奏へ。

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楽器の音色の今昔の違いや奏法も解りやすいように。

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キム・ジスクさんの通訳も素晴らしく皆さん興味深そうに頷いていました。

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当日はごく短時間の打合せで韓ソリの2名も加わってサムルノリ演奏。

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大きな音にびっくりされていたようですが体を揺らしてリズムに皆さんノってました。

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キム・ソラさんによる湖南右道井邑農楽の個人ノリ・ソルチャンゴ(ソロ演奏)

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華麗でありスピード感もあり素晴らしい演戯。

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あまりの迫力に会場は割れんばかりの拍手。

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ヒョン・スンフンさんによるプクノリの予定を変更して個人ノリでのチェサン・ソゴ(小鼓)チュム。

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身振り手振りでうまく会場の皆さんを巻き込みながら。

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拍手が少ないですよ!と、もっと拍手を要求したり会場の呼吸をしっかり楽しくのせての演戯。

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こちらも味のある素晴らしい演戯でした。

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司会のキム・ジスクさん、韓ソリメンバーのみんなと。

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翌日から右道井邑農楽ワークショップなので打上は軽く乾杯のつもりでしたが講演セミナーの余韻がとても良く、ちょいと深酒するも美味しく頂きまして幸福な時間でした。

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ユ・ジファ先生の「農楽人生60周年記念公演DVD」とキム・ソラさんの「井邑農楽チャンゴノリの発達過程と演行様相」の論文を頂きました。 論文巻末にユ・ジファ先生のチャンゴカラクがしっかりと採譜されており脈々と繋がる系譜資料は今後大変重要なものになると思われます。映像と論文で詳細な確認をすることが可能なので私たちにとっても興味深く貴重な研究資料です。

講演終了後に回収したアンケートに目を通すと「もっと演奏も見たい」、「スライドの字が小さくて見辛い」、「セミナーの時間が短い」というお叱りも受けましたが、「韓国の民俗村で風物(農楽)は見たけれど内容がいまいちわからなかったが今日の解説で良く理解出来た」、「すごい演奏に感動した」、「まさか主催の人たちが演奏出来るとは思わなかった、スゴイ」、「もう少し若ければチャレンジしたい」、「こうした取組が友好の礎になると思う」など、、、概ね肯定的な意見評価で安心しました。

韓ソリがNPO法人としてサムルノリや農楽の演奏活動、チャンゴ教室だけではなく、福岡市や周辺の学校を継続して伺い(昨年は10校)、子どもたちと参加型チャンゴワークショップで風物(農楽)を通じた文化交流の種蒔きを行いながら市民向けに講演セミナー開催した意義は、直接の交流を通じての相互理解に基づいた安寧や平和、友情への思いが根底にあります。

また演奏グループ・団体として韓ソリは韓国を代表する伝統芸能のルーツを大切に「繋がり」「精神性」を誠実に踏まえ、しっかり基本を刻み積極的に活動していく所存です。本年もご贔屓のほど宜しくお願い申し上げます。

最後にご来場いただきました皆様、関係各位の皆様に心より感謝申しあげます、ありがとうございました。얼씨구!좋다!



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